瑞相ずいそう)” の例文
農作成功のまじないとするふうがあって、それには外部からこういって来る者のあることを、一つの瑞相ずいそうとして歓迎したのであった。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
果してそれからというもの、文覚の身に瑞相ずいそうが現れた。吹き荒ぶ冷い嵐も彼には春の微風と思われ、凍る滝壺の水も湯のように感じられた。
お小遣をおくんなすったりして、本当に優しくして下さるよとういったら、母親おふくろが涙ぐんで、あゝ有難いことだ、そういうお方がらっしゃるのはお前が奉公の出来る瑞相ずいそうだから
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
日により、或は光線によって、起きぬけの額がすらりと晴れて見えると、伸子はその日一日、正しい心で暮せる瑞相ずいそうのような喜びを感じた。何の工合か、陰翳が濃く現れていると、暫く陰気になった。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)