王滝おうたき)” の例文
旧字:王瀧
木曾の王滝おうたき、西野、末川の辺鄙へんぴな村々、むかぐん附知村つけちむらあたりからも人足を繰り上げて、継立ての困難をしのいでいることを告げた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
昨年五月の末木曾の奥に入り王滝おうたき川の谿たにを上った時、上島うわしまの民居から少し上流の野口という部落を通った。すなわち山谷の入野いりのの口である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「お民、おれは王滝おうたきまで出かけて行って来るぜ。あとのことは、清助さんにもよく頼んで置いて行く。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いよいよ来たる五月十二日を期して、贄川にえがわ藪原やぶはら王滝おうたき馬籠まごめの四か村から出るものが一同に代わって本庁の方へ出頭するまでの大体の手はずをきめる。彼も心から汗が出た。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京都の方のことも心にかかりながら、半蔵は勝重かつしげを連れて、王滝おうたきをさして出かけた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いずれ土屋権大属ごんだいぞく帰庁の上で評議にも及ぶであろう、それまではまずまず預かり置く、そんな話で、王滝おうたき贄川にえがわ藪原やぶはらの三か村から出た総代と共に、半蔵は福島出張所から引き取って来た。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
半蔵は勝重かつしげを連れて、留守中のことを案じながら王滝おうたきから急いで来た。御嶽山麓おんたけさんろく禰宜ねぎの家から彼がもらい受けて来た里宮参籠さんろう記念のお札、それから神饌しんせんの白米なぞは父吉左衛門をよろこばせた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「もう半蔵も王滝おうたきから帰りそうなものだぞ。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)