狭斜けふしや)” の例文
ひとり立つてじつと海を眺めてゐる若い美しい女——それは一目で狭斜けふしやの人であるといふことがわかつたが、さつきBが夫妻を見た時には
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
狭斜けふしやいうあるを疑はれしとて、「家有縞衣待吾返いへにかういありわがかへるをまつ孤衾如水已三年こきんみづのごとくすでにさんねん」など云へる詩を作りしは、いささか眉に唾すべきものなれど、竹田ちくでんが同じく長崎より
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
途上、神明町しんめいちやう狭斜けふしやを過ぐれば、人家の倒壊せるもの数軒を数ふ。また月見橋つきみばしのほとりに立ち、はるかに東京の天を望めば、天、泥土でいどの色を帯び、焔煙えんえんの四方に飛騰ひとうする見る。