狗子くし)” の例文
昨夜二更一匹の狗子くし窓下に来ってしきりに哀啼あいていす。筆硯ひっけんの妨げらるるをにくんで窓を開きみれば、一望月光裡いちぼうげっこうりにあり。寒威惨かんいさんとしてゆるがず。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
 業風ごうふう過ぐるところ花空しく落ち 迷霧開く時銃忽ち鳴る 狗子くし何ぞかつて仏性無からん 看経かんきん声裡三生さんせいを証す
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
狗子還有仏性也無[狗子くしにまた仏性ぶっしょう有りやいなや]の問答についても同様の事が言える。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
とまったときにはじめてやむもので、これは禅宗のほうでもそうでありますが、始め題を出しまして、「趙州じょうしゅう」という題を出す。狗子くし仏性ぶっしょうがあるかないか。と問われて、趙州が無といった。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ちなみに問ふ。狗子くし仏性ぶっしょうありや。いわく、苦。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
翌、かの狗子くし命を我が窓下に絶ちぬ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)