燈籠とうろ)” の例文
新字:灯籠
上滝かうたきのお父さんの命名なりと言へば、一風いつぷう変りたる名を好むは遺伝的趣味の一つなるべし。書は中々たくみなり。歌も句も素人しろうと並みに作る。「新内しんない下見したみおろせば燈籠とうろかな」
学校友だち (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて彼女の手より閃めき出でし蘭法附木つけぎの火、四方に並べし胡麻ごま燈油の切子硝子きりこ燈籠とうろに入れば、天井四壁一面に架けつらねしギヤマン鏡に、何千、何百となく映りはえて、二十余畳にも及ぶべき室内
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
六十になりて母無き燈籠とうろかな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
黒くをどりはひるまの燈籠とうろ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
山寺は星より高き燈籠とうろかな
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
人魂ひとだまは消えてこずゑ燈籠とうろかな
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)