“無腰(むこし)” の例文
ここに集まっている連中は、みんな両刀の者であるのに、幸内ばかりが無腰(むこし)の平民、しかも雇人の身分でありましたから、遠慮に遠慮をして暫らく頭を上げません。
そこで脇差(わきざし)ばかり挿(さ)してゐて、奉行に呼ばれると、脇差をも畳廊下(たゝみらうか)に抜いて置いて、無腰(むこし)で御用談(ごようだん)の間(ま)に出る。この御用談の間に呼んで捕へようと云ふのが手筈である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一つには無腰(むこし)であったから、刀を差して歩く人のみをめざした七兵衛の眼を外(はず)れたものと見えます。
中から無腰(むこし)の宇津木が、恬然(てんぜん)たる態度で出て来た。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
山崎は前夜の通り、無腰(むこし)のまま地味(じみ)な藍縞(あいじま)の商人体(てい)で平間の前へ無造作(むぞうさ)に坐り
三人は大小を差していましたけれど、米友は無腰(むこし)でありました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)