無聊ぶりよう)” の例文
彼等の物語をばゑましげに傍聴したりし横浜商人体しようにんていの乗客は、さいはひ無聊ぶりようを慰められしを謝すらんやうに、ねんごろ一揖いつゆうしてここに下車せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
京都に友達がなく、無聊ぶりように悩んで、三日目毎に、どんな悪天候を犯しても、僕のところへ遊びにくる習慣だつた。
本郷の並木道 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
雨窓無聊ぶりよう、たまたま内子ないし『八犬伝』を読むを聞いて戯れに二十首を作る
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
風早はひとつ起きつ安否の気遣きづかはれて苦き無聊ぶりように堪へざる折から、あるじの妻はやうやく茶を持ち来りぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
可艱なやましげにも自ら起居たちゐたすけ得る身となりければ、一日一夜をす事も無く、ベッドの上に静養をつとめざるべからざる病院の無聊ぶりようをば、ほとんど生きながら葬られたらんやうにこうじつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)