無之候これなくそうろう)” の例文
「嫌ひだ」と言うたからとて、さうかほんたうに嫌ひだったのかと新事実を発見したほどに思ふやうな僕にては無之候これなくそうろう
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
さなくとも此方こなたの意中は、すでにおもとも御ぞん知に候うべし、身不肖ふしょうなれど、池田侯の家中にて、青木丹左衛門と申せば千石取りの武士もののふにて、知らぬは無之候これなくそうろう
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何卒なにとぞ右の儀、高等二学年修了以上の方々及び其父兄へ御懇話の上、一人にても二人にてもおつかわ被下くださらば、邦家ほうか中等教育の為め、光栄これにくもの無之候これなくそうろう頓首再拝とんしゅさいはい
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
拝呈その後は御無音ごぶいんに打過ぎ申訳もうしわけ無之候これなくそうろう
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
たのみ上げ候上は、虫同然の小家の者共、おうらみ申しあぐき訳も無之候これなくそうろう