いずくん)” の例文
時々三味線の爪弾きなどしてゐるから、僕のところへ遊びにくる友人は階下に美人がゐると思つて羨しがつたりしたが、いずくんぞ知らん髯武者である。
市井閑談 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
床下を全部コンクリートにして湿気を避けおおせたりと安心していると、いずくんぞ知らん、湿気が全部上へあがって床板や畳がじくじくになってしまうのと、全くいつにする失敗である。
またこれに関連して述べたいことは、弱点の末の末までかくし得ないことを心得れば大いに気が澄んで来る。「ひといずくんかくさんや」で、かくさんとする人はただ一人だがこれを見る人は幾千万人ある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)