為来シキタ)” の例文
旧字:爲來
コノ為来シキタりを何時となく、女たちのハナすのを聞いて、姫が、女のギヤウとして、この野遊びをする気になられたのだ、と思つたのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ともかくも、まつり・まつりごとは、其用語例から見ると、昔から為来シキタりある行事、といふ意味に用ゐられて居る。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
をとめの閨戸ネヤドをおとなふフウは、何も、珍しげのない国中の為来シキタりであつた。だが其にも、カツてはさうした風の、一切行はれて居なかつたことを、主張する村々があつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
上代から然りと信ずる事は出来ぬにしても、尚江戸よりは古くの為来シキタりと考へられる。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
首里の巫女「大阿武志良礼ウフアムシラレ」は代々久高クタカ氏の女性を出す、極めて古い為来シキタりであつた。
日琉語族論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かう言ふ風に、物を知らせるのが、あて人に仕へる人たちの、為来シキタりになつて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日吉山王の舟祭りに、膳所に渡御なると、粟の飯を献ることは名高い話であるが、其由来を此民譚では、若に粟飯を与へた田畑之助が、粟津の人であつた為、其が為来シキタりになつたのだとも言ふ。
愛護若 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
琉球では童名を為来シキタりの上から重んじてゐる。其は古くは、童名だけだつたのである。だから、王でも神号がなければ、童名のまゝ伝るのであつた。王号は其に加へるやうになつたものである。
日琉語族論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
由来不明なる「為来シキタり」によつて、純粋にせられる事が多い。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)