瀞八丁どろはっちょう)” の例文
決して瀞八丁どろはっちょうなどと風景の詮議せんぎをする閑人ひまじんの命名ではなく、実際生活と交渉があるので名ができたものである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大洋と濃緑こみどりの山と草木の重々しき重なりの連続であり、こと九里峡くりきょう瀞八丁どろはっちょうの両岸にい茂る草木こそは、なるほど人間と恋愛するかも知れないところの柳が今なお多く存在しているらしく
この蘇川峡のみをもってすれば、その岩相がんそう奇峭きしょうほう耶馬渓やばけい瀞八丁どろはっちょうしんの天竜峡におよばず、その水流の急なること球磨くま川にしかず、激湍げきたんはまた筑後川の或個処あるかしょにも劣るものがある。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ツルは熊野の北山川の瀞八丁どろはっちょうのトロと同じく、滝に落ちんとしてしばらくたたえた静かなる水ではなかったかと思うが、今ではとにかくに出流などの字を宛てて、そわの下の狭い流れの
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)