淵川ふちかわ)” の例文
お杉ばばと淵川ふちかわ権六なのである。二人とも、足ごしらえから身支度まで、死出の旅路を覚悟のようにかいがいしくして
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「憐れでしょうか。私ならあんな歌はみませんね。第一、淵川ふちかわへ身を投げるなんて、つまらないじゃありませんか」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これから先きは飢えて死ぬより外に仕様がないと覚悟をきわめ、何うか知れないように淵川ふちかわへでも身を投げて死のうと思って、日の暮れるまで彼方此方あっちこっちとうろ/\歩いて
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんな目に逢うくらいなら、淵川ふちかわへ身を投げて死ぬか、一生奉公しても借金を返します。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
淵川ふちかわへでも身を沈めて、死のうと思う事が度々たび/″\ございますが、それもあんまり無分別だから、下総の伯父さんの処へ逃げて行きたいが、まさかに女一人で行かれもしませんからね
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
髪も、婆ほどは白くない。姓は淵川ふちかわ、名を権六という。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「めでたく、淵川ふちかわへ身を投げんでも済んだ訳だね」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
喰うや喰わずに痩せ衰えて居はしないか、それとも淵川ふちかわへ身を投げても、観音さまの御利益ごりやくで海辺へ流れついて居やアしないかと思って、観音さまへ無理な御願ごがんを掛けてよう/\と四国を廻って
と云う歌をんで、淵川ふちかわへ身を投げててました
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)