深山幽谷しんざんゆうこく)” の例文
又、彼等は先祖代々深山幽谷しんざんゆうこくに棲んでいるから、山坂を駆歩かけあるくことは普通の人間よりも素捷すばやいであろうし、腕力もまた強いかも知れない。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……『古今註こきんちゅう』に、『鶴は千歳せんざいにしてそうとなり、二千歳にしてこくすなわ玄鶴げんかくなり。白鶴はっかくもまた同じ。死期を知れば、深山幽谷しんざんゆうこくにかくれてみずから死す』
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「さて次は『赤毛のゴリラ』に対する宣告であるが——」と首領「右足のないふくろう」はおごそかな口調で云った。一座はシーンと静まりかえって、深山幽谷しんざんゆうこくにあるのと何の選ぶところもない。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
の逃げ込んだ奴等が深山幽谷しんざんゆうこくあいだに隠れて、世間普通の人間とは一切の交通をって、何千年か何百年かの長い間、親から子、子から孫とその血統を伝えて来たもので
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それはまるで深山幽谷しんざんゆうこくのように静かな春の夕方だった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)