海草うみくさ)” の例文
娘は、赤い絵具で、白い蝋燭に、魚や、貝や、また海草うみくさのようなものを産れつき誰にも習ったのでないが上手に描きました。お爺さんは、それを見るとびっくりいたしました。
赤い蝋燭と人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
武家の娘の一本に世を知らぬ、そして知らぬがゆえに強い弥生の恋情よりも、あら浪にもまれもてあそばれて寄って来て海草うみくさの花のような、あくまでも受身なお艶という可憐な姿に
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
強い日光に照りつけられた海水の反映が室の壁と天井とに絶間たえまなく波紋のうごく影をゑがいてゐる。窓の上に巣を作つてゐる燕が、幾羽となく海の方へ飛んで行つては海草うみくさのちぎれをついばんで来る。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
どこかでゆれてゐる海草うみくさの匂ひがかすかに一めんに