浴帷子ゆかた)” の例文
二人の客は、皆浴帷子ゆかたの儘ではあるが、てんでに軍刀を持つて主人の後に続いた。三人が玄関に出たのは丁度太吉が二度目に叫んだ時であつた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
十八九ばかりの書生風の男で、浴帷子ゆかた小倉袴こくらばかまを穿いて、麦藁むぎわら帽子をかぶって来たのを、女中達がのぞいて見て、高麗蔵こまぞうのした「魔風まかぜ恋風」の東吾とうごに似た書生さんだと云って騒いだ。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
石田は早く起きて、例の狭い間で手水ちょうずを使った。これまでは日曜日にも用事があったが、今日は始て日曜日らしく感じた。寝巻の浴帷子ゆかたを着たままで、兵児帯へこおびをぐるぐると巻いて、南側の裏縁に出た。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
石田は三枚持っている浴帷子ゆかたを一枚った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)