浜名湖はまなこ)” の例文
龍太郎りゅうたろう温情おんじょうをこめて、不遇ふぐうな女をなぐさめてやると、小文治こぶんじもおととしの春、まだ自分が浜名湖はまなこ漁師小屋りょうしごやにいて、母の死骸しがいをほうむる費用ひようもなく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浜名湖はまなこ周囲の村々ではショウロメシ、瀬戸内海のある島では餓鬼飯がきめしとさえいう通り、盆は目に見えぬ外精霊ほかじょうりょうや無縁ぼとけが、数限りもなくうろつく時である故に
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
初秋の浜名湖はまなこを渡って、舞坂まいさかの宿外れ、とある茶店で中食ちゅうじきを認め、勘定をするつもりで取出とりだした紙入を、衝立ついたての蔭から出た長い手が、いきなりさらって表口へ飛出したのです。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
どこまでもここから、左へ左へとすすんで、入野いりぬせきをこえさえすれば、浜名湖はまなこの岸へでられます
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも、わざと姿すがたをかえておりますが、小幡民部こばたみんぶはかたがたしい武芸者風ぶげいしゃふう巽小文治たつみこぶんじと申すはもと浜名湖はまなこ船夫せんぷの子とかにて目じるしにはつね朱柄あかえやりをたずさえております。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)