流丸それだま)” の例文
覚めて考うれば口をきかれなかったはもしや流丸それだまにでもあたられて亡くなられたか、茶絶ちゃだち塩絶しおだちきっとして祈るを御存知ないはずも無かろうに
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
新「アヽ何処から飛んで来たか鉄砲の流丸それだま、お蔭で己は助かったが猟師が兎でも打とうと思って弾丸たまれたか、アヽ僥倖さいわい命強いのちづよかった、危ない処をのがれた、たれが鉄砲を打ったか有難いことだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
根津の廓からの流丸それだまならずば権君御持参の高帽子、と女中はてん/″\に浮立つゝ、貯蓄とつときのイラツシヤイを惜気もなく異韻一斉さらけだして、急ぎいでむかへて二度吃驚、男は純然たる山だし書生。
上野 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すると何処どこから飛んで来ましたかズドンと一発鉄砲の流丸それだまが、甚藏が今新吉を殺そうと出刃庖丁を振りかざしている胸元へあたりましたから、ばったり前へのめりましたが、片手に出刃庖丁を持ち
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)