津波つなみ)” の例文
明治四十三年の九月に佃島に津波つなみが来た。京橋の築地河岸がし一体にまでその水は押上げたほどで、洲崎すざきや月島は被害がひどかった。
家屋の倒潰とうかいは数知れないし、津波つなみもあり、火死、水死、圧死など、この時の死傷は三万七千余人といわれた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船首に、津波つなみのように、海水の大きなかたまりが、くずれこんだ。船は、ぐらっと動いた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
そのときふとわたしは、レールが津波つなみのために持って行かれたことを確かめた。わたしはもう道しるべがなくなった。そういうわけでは、わたしのくわだてをとげるわけにはゆかない。
ドアのむこうから、青黒い液体が、津波つなみのように、ながれこんできて、二十面相が、力まかせに、ドアをおしても、もうしめることができません。液体のながれこむ力が、強いからです。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
山上から中腹の城内へ、津波つなみのように濁水が押し流れて行った。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)