洋綴ようとじ)” の例文
娘は目を伏せたまま、いままで膝にのせていた洋綴ようとじの本を下に置いた。そうしてその表紙を無意味に見ている。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
博士 正史でなく、小説、浄瑠璃じょうるりの中を見ましょうで。時の人情と風俗とは、史書よりもむしろこの方が適当でありますので。(金光燦爛さんらんたる洋綴ようとじの書をひらく。)
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何を読んでいるのだ」といいながら見ると、洋綴ようとじの厚い本である。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
背皮に黄金おうごんの文字をした洋綴ようとじ書籍ほんが、ぎしりと並んで、さんとしてあおき光を放つ。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)