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泊番
お國は人目を
憚り庭口の
開き戸を明け置き、
此処より源次郎を忍ばせる
趣向で、殿様のお
泊番の時には此処から忍んで来るのだが、奥向きの
切盛は万事妾の國がする事ゆえ
実は
召仕のお國と宮野邊の次男源次郎と
疾より不義をしていて、
先月廿一日お
泊番の時、源次郎がお國の
許へ忍び込み、お國と
密々話して居る所へうっかり
私がお庭へ出て参り、様子を聞くと
殿様お
泊番の
夜に、源次郎が
密かにお國の
許へ忍び込み、
明日中川にて殿様を舟から突落し殺そうとの
悪計みを、
私が
立聞をした所から、争いとなりましたが、
此方は悲しいかな草履取の身の上