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沾
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うる
ふりがな文庫
“
沾
(
うる
)” の例文
が、その中でも目についたのは、
欄干
(
らんかん
)
の
外
(
そと
)
の見物の間に、芸者らしい女が
交
(
まじ
)
っている。色の蒼白い、目の
沾
(
うる
)
んだ、どこか妙な憂鬱な、——
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは如何にも彫刻家が物のかたちを見極める無言の観察であるかの如く、余念のない、清澄な
沾
(
うる
)
みを持つてゐた。
熱い風
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
信州の
木曽渓
(
きそだに
)
でもある家の
馬飼童
(
うまかいわらわ
)
が、
惰
(
なま
)
けて水を忘れて主人の馬を死なせ、それから水が火になって飲むことが出来ず、
辛
(
かろ
)
うじて木葉の
雫
(
しずく
)
で
咽
(
のど
)
を
沾
(
うる
)
おすようになったといって
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もう、いっぱいに
沾
(
うる
)
んでしまう。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と声も涙に
沾
(
うる
)
みて聞ゆ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
が、女はその次の瞬間には、見る見る恥しそうな色に頬を染めて、また涙に
沾
(
うる
)
んだ眼を、もう一度
膝
(
ひざ
)
へ落してしまった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
光子さんの眼は、夜露を湛へた露草のやうに
沾
(
うる
)
んでゐました。
蛍
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
牛は
沾
(
うる
)
んだ眼を挙げて、じつと私の顔を眺めた。それから首を横に振つて、もう一度熊笹の中へ引き返した。私はその牛の姿に愛と嫌悪とを同時に感じながら、ぼんやり巻煙草に火をつけた……
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
敏子は
沾
(
うる
)
んだ眼の中に、無理な微笑を漂わせた。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
沾
漢検1級
部首:⽔
8画
“沾”を含む語句
教儂不沾裙
恩沾無涯
沾圃
沾峩
沾徳
沾汚
沾沾
沾蓬
菊岡沾涼
露沾