沙河しゃか)” の例文
しかし遼東りょうとうの風に吹かれ、奉天の雨に打たれ、沙河しゃかの日にり付けられれば大抵なものは黒くなる。地体じたい黒いものはなお黒くなる。ひげもその通りである。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちに、十月ももう半ばになって、沙河しゃか会戦の新しい公報が発表された。町の人たちの注意は皆その方に集められて、狐の噂などは自然に消えてしまった。
火薬庫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
普通の人は戦争とさえ云えば沙河しゃかとか奉天ほうてんとかまた旅順りょじゅんとかそのほかに戦争はないもののごとくに考えている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
沙河しゃか会戦中には、農家へはいって一椀の水をもらったきりで、朝から晩まで飲まず食わずの日もありました。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)