沙利じゃり)” の例文
微曇うすぐもりのした空に月があって虫のが一めんにきこえていた。街路とおりには沙利じゃりを敷いてあった。菊江はその街路とおりを右の方へ往った。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
沙利じゃりを敷いた路は思うように歩けなかった。左側の街路とおりに沿うた方を低い土手にして庭前にわさき芝生しばふにしてある洋館の横手の方で犬の声がした。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もう夕陽にいろどられた沖のほうから、いさましい櫓声ろせいがして、吾れさきにと帰って来た漁船からは、魚を眼まぐろしくあげて、それを魚市場の沙利じゃりの上へ一面に並べた。
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「児が出来て、ぴいぴい泣かれちゃ困るが、君は、お媽さんをもらうといいと思うね、そうすりゃあ気もちがかわって、いいよ、今晩だって、沙利じゃりの上なんかに寝てて、体をこわすよ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
沙利じゃり置場に寝ていることは判ったが、場所が判らなかった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広巳は道傍みちばたに積んだ沙利じゃりの上に寝ているじぶんを見いだした。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)