沈毅ちんき)” の例文
高潔沈毅ちんきな鼻の表現に万軍の信頼を集めつつ、天地を震撼する大魔王の鼻を一撃のもとに打ち砕いた英雄がありました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そもそも富士男君の寛仁大度かんじんたいど、ゴルドン君の慎重熟慮しんちょうじゅくりょ、ドノバン君の勇邁不屈ゆうまいふくつ、その他諸君の沈毅ちんきにして明知めいちなる、じつに前代未聞ぜんだいみもん俊髦しゅんぼうであります。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
本来、沈毅ちんきにして、忠実なる犬であればあるほど、人見知りをすべきはずのものである。真に沈毅にして、勇敢にして、忠実なる犬は、二人の主というものを知らない。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
哲学者風の重厚沈毅ちんきに加えて革命党風の精悍剛愎が眉宇びうあふれている状貌じょうぼうらしく考えていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
然るにいよいよ新任提調として出頭するや、一同は皆瀟洒しょうしゃたる風流才人を見るべく想像していたに反して、意外にも状貌じょうぼう魁偉かいいなる重厚沈毅ちんきの二葉亭を迎えて一見忽ち信服してしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
柳がダイヤモンドに立ったとき群集は一度に喝采かっさいした。実際柳の風采、その鷹揚おうような態度はすでに群衆をわした。それに対して小原の剛健沈毅ちんき気宇きう、ふたりの対照はたまらなく美しい。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いまのやつらはへそを軽蔑けいべつするからみな軽佻浮薄けいちょうふはくなのだ、へそは力の中心点だ、人間はすべての力をへそに集注すれば、どっしりとおちついて威武もくっするあたわず富貴もいんするあたわず、沈毅ちんき
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)