氷魚ひお)” の例文
網代あじろ氷魚ひおの漁もことに多くて、きれいないろいろの紅葉にそれを混ぜて幾つとなくかごにしつらえるのに侍などは興じていた。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この年の正月記事は「氷魚ひおの村君」という日記にあるが、男鹿の東北隅の谷地中という海辺の村で、のんびりとした初春の光景を眺めている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
網代木あじろぎは、網の代用という意味だが、これは冬宇治川の氷魚ひおを捕るために、沢山の棒杭を水中に打ち、恐らく上流に向って狭くなるように打ったと思うが
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
さういふことが、単調な漁人の生活に僅少の色彩を与へる。「たたき」で捕つた魚も、「やつか」で捕つた漁も、所謂いわゆる氷魚ひおであつて、あぶらが乗り肉が締まつて甚だ佳味である。
諏訪湖畔冬の生活 (新字旧仮名) / 島木赤彦(著)
網代あじろに人がたくさん寄っているようだが、しかも氷魚ひおは寄らないようじゃないか、だれの顔も寂しそうだ」
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「そんなことはいやだ。こちらも氷魚ひおとか蜉蝣ひおむしとかに変わらないはかない人間だからね」
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)