残光ざんこう)” の例文
波の背に、さっきまでは、入日の残光ざんこうがきらきらとうつくしくかがやいていたが、今はもう空も雲も海も、鼠色ねずみいろの一色にぬりつぶされてしまった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
入日いりひ残光ざんこうが急にうすれて、夕闇ゆうやみ煙色けむりいろのつばさをひろげて、あたりの山々を包んでいった。と、東の空に、まん丸い月が浮きあがった。満月まんげつだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僅かに残光ざんこう窓枠まどわくの四角な形を切り出していたが、それも取紙とりがみで吸い取られるように薄れていった。そして遂に黒インキのような絶対暗黒がやって来た。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは太陽の残光ざんこうが多量の赤外線を含んで、運動場を照しているせいに違いなかった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)