歯咬はがみ)” の例文
旧字:齒咬
昨夕ゆうべこの坂の中程で転んだお角が、れったがって歯咬はがみをしながら、鼻緒の切れたその下駄をポンと仕置場のやぶの中へ投げ込んだ時に、米友は怪訝けげんかおをして見ていました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
呼べばこだまは返せども、雲はゆうにして彼はこたへず。歯咬はがみして貫一は後を追ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お銀様は歯咬はがみをして彼等を押し退けて避けようとすると、折助たちは、ゾロゾロと後をついて来るのであります。お銀様は、ついに立ちすくんでしまうよりほかはなくなりました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
男は歯咬はがみしつつ苦しげに嗤笑ししようせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひそか歯咬はがみをなしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)