正中たゞなか)” の例文
この魔性の廣野ひろの正中たゞなかにはいと大いなるいと深き一のあなありて口をひらけり、その構造なりたちをばわれその處にいたりていはむ 四—六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
橘柚オレンジ檸檬リモネの林を見下し、高くは山巓さんてんの雲を踏み、低くは水草茂れる沼澤の上を飛びしときは、終に茫漠たる平野の正中たゞなかなる羅馬の都城に至りぬ。
わづかに畳三ひらばかり鋪ける、ささやかなる所に、九人押し合ひてゐたり。あかしさへ置きたれば、いよゝせばきに、をさなきものねむたしとて、並みゐる正中たゞなかに足踏み伸して臥す。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
されどこの時顏をこの民にむけ燃ゆる路の正中たゞなかをあゆみて來る民ありければ、我は彼等をみんとて詞をとゞめぬ 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この時彼曰ふ、海の正中たゞなかに荒れたる國あり、クレータと名づく、こゝの王の治世のもと、世はそのかみ清かりき 九四—九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我はうるはしきシレーナなり、耳を樂しましむるもの我に滿ちみつるによりて海の正中たゞなか水手かこ等を迷はす 一九—二一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
うるはしき風わが額の正中たゞなかにあたれり、我は神饌アムプロージャにほひを我に知らしめし羽の動くをさだかにしれり 一四八—一五〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
殘る二は左右の肩の正中たゞなかの上にてこれとつらなり、かつ三ともに雞冠とさかあるところにて合へり 四〇—四二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
〔かの火の生くる懷〕聖ヤコブの放つ強き光の正中たゞなか
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)