“歡(よろこび)” の例文
新字:歓
銅色(あかがねいろ)の薔薇(ばら)の花、人間の歡(よろこび)よりもなほ頼み難い銅色(あかがねいろ)の薔薇(ばら)の花、おまへの僞(いつはり)多い匂を移しておくれ、僞善(ぎぜん)の花よ、無言(むごん)の花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
寺の掟(おきて)に依るに、凡そ尼となるものは、授戒に先だてる數月間親々の許に還り居て、浮世の歡(よろこび)を味ひ盡し、さて生涯の暇乞して俗縁を斷つことなり。
我を誘ひ出して酒店(さかみせ)に至り、初め白き基督涙號(ラクリメエ、クリスチイ)を傾け、次いで赤き「カラブリア」號を倒し、わが最早え飮まずと辭(いな)むに迨(およ)びて、さらば三鞭酒(シヤンパニエ)もて熱を下(さま)せなどいひ、歡(よろこび)を盡して別れぬ。
おん身も人々の歡(よろこび)を分ち給はずや、われ若しおん身の憂はしき面を見て別れ去らば、尼寺に入りて後に屡〻御身の上を氣づかふならん、かくてはおん身我に罪障を増させ給ふなりと宣給ふ。