をさ)” の例文
その常にぢかつくゆる一事を責められては、えざるきずをもさかるる心地して、彼は苦しげにかたちをさめ、声をもいださでゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あらきの宮にをさめしより
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
光もいつか影をさ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
宮はこの散歩の間につとめて気をたひらげ、色ををさめて、ともかくも人目をのがれんと計れるなり。されどもこは酒をぬすみて酔はざらんと欲するにおなじかるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
善くをさむれども、内には事足る老婢ろうひつかひて、わづかに自炊ならざる男世帯をとこせたいを張りて、なほもおごらず、楽まず、心は昔日きのふの手代にして、趣は失意の書生の如く依然たる変物へんぶつの名を失はでゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)