欄杆らんかん)” の例文
その水の上へむかしの泉殿いずみどののようなふうに床を高くつくって欄杆らんかんをめぐらした座敷がつき出ておりまして五、六人の男女がうたげをひらいておりました
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わたりは二十間あまり、橋のひろさは三尺にたらず、欄杆らんかんはもとより作らず、橋を渡りてむかひの岸に藤綱ふぢづなを岸の大木にくゝしげてあり。これすがりて岸にのぼるたよりとす。
その群衆は、普通ふつう、路上に形作らるるものに比べては、かなり大きいものであった。しかも、それが岸にっては堤防に、橋の上では欄杆らんかんへとギシギシとめられている。
死者を嗤う (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あの塔の上の怪物はもう写真にだけよりないのでしょうか。あの世持橋よもちばし欄杆らんかんはどうなったでしょう。素敵な魚介の紋様が浮彫にされていましたが。あの円覚寺の石矼いしばしは安全に残ったのでしょうか。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その穂が始終ちらちらしてみがきこんだ柱や欄杆らんかんや金屏風にうつっております。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)