檻禁かんきん)” の例文
「われわれがこっちへ来たことを敵が感づいたんですよ、それとも、古木邸につなさんが檻禁かんきんされているとも考えられますね」
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ひとつには当時の上流と目される大名の奥方や、姫君などは、かごとり同様に檻禁かんきんしてしまったので、勢い下々しもじもの女の気焔きえんが高くなったわけである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「その息子に光雄みつおっていう気違いがある。一間に檻禁かんきんして滅多に外出させないというから、多分御存知ないでしょう、私も今日やっと知った位です」
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼はあれ以来はずっと繩屋の一室に檻禁かんきんされ、昼夜いずれの時と限らず、臼であり色けちであるところの、娘おわきの訪問を受付けなければならない。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これは幕府が大名の奥方、姫君などをかごの鳥同様、人質ひとじちとして丸の内上屋敷かみやしき檻禁かんきんさせていたので、美しき女の伝もつたわらぬのでもあれば、時を得て下層の女の気焔きえんが高まったのでもあろう。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
不必要な場合に亡霊を宣伝し、また僕の研究の秘密を盗もうとして、折悪おりあしく来合せたみどりさんを檻禁かんきんした。
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
去定は座敷牢を造って檻禁かんきんしろと云った。さもなければ、必ず同じようなことがくり返し行われるだろう。
そこで機会をみて一挙にかれらを檻禁かんきんし、国許へ送って裁決にかける。だいたいそういう方法をとることになった、それについては気の毒であるが沢渡にも累が及ばざるを得ない。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「伊藤、みどりさんを檻禁かんきんしたのは彼奴きゃつだ、逃がすな!」
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「私の診たところだと、だんだん正気でいる時間が長くなって来て、自分の狂っていることや、檻禁かんきんされているという事実がわかり始めた、そのために絶望的になって、自殺しようとしたのではないかと思うんだ」