樹樹きぎ)” の例文
地面はまるで青黒い長い線としか見えないようにうしろへ流れて行き、わたしたちの駈け通る両側の黒い樹樹きぎの影は混乱した軍勢のようにざわめきます。
この山の樹樹きぎのことごと芽ぐみたり桜のつぼみややややにゆるむ
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
囹圄ひとやめぐりなる樹樹きぎの枝はりとられ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
樹樹きぎはつめたく去り行けり。
黎明と樹木 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
田舎のうす暗い野原ばかりを過ぎて、三日間のみ疲れた旅行ののち、わたしが預かることになっている、牡鶏おんどりの飾りのついている教会の尖塔が樹樹きぎの間から見えました。