横皺よこじわ)” の例文
黒服の親仁とっさんは、すっぽりとちゅう山高を脱ぐ。兀頭はげあたまで、太いくび横皺よこじわがある。けつで、閣翁を突くがごとくにして、銅像に一拝すると
頬も鼻も口もあごも、どれがどれだかまるで区別がなくて、無数の深い横皺よこじわが刻まれているに過ぎなかった。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
次郎兵衛の酒はいよいよ量がふえて、眼はだんだんと死魚の眼のように冷くかすみ、額には三本の油ぎった横皺よこじわが生じ、どうやらふてぶてしい面貌になってしまった。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
私もそれきり黙って盃をめつづけていたが、ふと、机に俯向いている彼の顔に、かなりたくさんの横皺よこじわのあることを発見して、ひとつはこうした空気からのがれたい気持も手伝って
父の出郷 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)