標準めやす)” の例文
吾々の生れた北威爾斯と此方こちらとでは、人間を測るのに、標準めやすちがつてゐるといふ事で、南威爾斯では、人間をおとがひから下の大きさで測るらしいが
平生継子を標準めやすにおかないで、何とも思わずに暮していた彼女は、今その従妹と肩を並べながら、にぎやかな電灯で明るく照らされた廊下の上に立って
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人間や生活やの評価の上にも、西欧文明は、或る特殊な標準めやすを作上げ、それを絶対普遍のものと信じている。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
米国へ持込んだら屹度きつと三万円には売れるだらうといつた、その一こと標準めやすに、大負けに負けて一万円といふのださうな。
向うの好意をけて、相当の満足を先方に与えるのは、こちらもよろこばしいが、受けるべき理由がないのに、みだりに自己の利得のみを標準めやすに置くのは、乞食と同程度の人間である。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに売物の事だから彼是かれこれ言はうとも思はないが、一体何を標準めやすに一万円といふ売値をつけたのだと訊いてみると、亡くなつた岡倉覚三氏がその画を見て
「御殿場を標準めやすにして富士山を横断すると、それだけでもつて琵琶湖が十七程埋め立てられる事になります。」
と言つて、年齢頃としごろには頓着なく、箪笥の安いのを標準めやすかたづけられたものなのだ。
書の相場は酒を標準めやすに一本一升といふ事にめてゐた。