楔子くさび)” の例文
この二人を継ぎ合わせる楔子くさびはかの小鉄で、小鉄はダルトンの娘であるという事実が判った時にはわれわれも意外に思いました。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二つの溪の間へ楔子くさびのように立っている山と、前方を屏風びょうぶのようにふさいでいる山との間には、一つの溪をその上流へかけて十二単衣ひとえのような山褶やまひだが交互に重なっていた。
蒼穹 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
これをまた大勢の神が見てあざむいて山に連れて行つて、大きな樹を切り伏せて楔子くさびを打つておいて、その中に大國主の命をはいらせて、楔子くさびを打つて放つて打ち殺してしまいました。
向うの要求は、勿論皆馬琴にとつて、余りに虫のいい事ばかりである。が、耳の遠いと云ふ事が、眼の悪いのを苦にしてゐる彼にとつて、幾分の同情を繋ぐ楔子くさびになつたのであらう。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しずたけ決戦の楔子くさびはこの日に打ちこまれたといっていい。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
向うの要求は、もちろんみな馬琴にとって、あまりに虫のいいことばかりである。が、耳の遠いということが、眼の悪いのを苦にしている彼にとって、幾分の同情をつなぐ楔子くさびになったのであろう。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
楔子くさび
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)