椽木たるき)” の例文
部屋の中は真暗で横梁よこはり椽木たるきが頭の上で震えていた。しばらく震えているうちに、おおいに持上ってわたしの身体の上に堆積した。
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
二人して息せき急ぎ感応寺へと持ち込み、上人が前にさし置きて帰りけるが、上人これをよくたまうに、初重より五重までの配合つりあい、屋根庇廂ひさし勾配こうばい、腰の高さ、椽木たるき割賦わりふり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
屋根の椽木たるき、色紙のはられた屋根部屋の断片、砲弾を待ち受けて物の破片のうちに立てられてるガラスのついた窓のとびら、引きぬかれた煙筒えんとつ戸棚とだな、テーブル、腰掛け、上を下への乱雑な堆積
椽木たるき割賦わりふり九輪請花露盤宝珠くりんうけばなろばんはうじゆの体裁まで何所に可厭いやなるところもなく、水際立つたる細工ぶり、此が彼不器用らしき男の手にて出来たるものかと疑はるゝほど巧緻たくみなれば、独りひそかに歎じたまひて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)