椰子樹やしじゅ)” の例文
棕梠しゅろ、芭蕉、椰子樹やしじゅ檳榔樹びんろうじゅ菩提樹ぼだいじゅが重なり合った中に白い卓子テーブル籐椅子とういすが散在している。東京の中央とは思えない静けさである。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金の花粉を漂わせた朝の空、森、岩、崖、芝地、椰子樹やしじゅの下の村、紅いココア殻の山等の美しさ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
導かれてそこに到れば、長松大柏ちょうしょうたいはく森々しんしんおくをおおい、南国の茂竹もちく椰子樹やしじゅ、紅紫の奇花など、籬落りらくとして、異香を風にひるがえし、おもわず恍惚とたたずみ見とれていた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唯一人(海と空と椰子樹やしじゅの間に全く唯一人)一冊のバアンズと一冊のシェイクスピアを友として住んでいる(そして少しの悔もなく其の地に骨を埋めようとしている)亜米利加アメリカ人もいた。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)