桃花心木マホガニイ)” の例文
豫備の客間と寢室は古風な桃花心木マホガニイ臙膩色えんじいろの家具類で、すつかりその目的にかなつた。廊下には粗織布キヤンヷスを、階段には敷物を敷いた。
その部屋のカミンに燃えている火も、かげのうつった桃花心木マホガニイ椅子いすも、カミンの上のプラトオン全集も確かに見たことのあるような気がした。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いかにも、今迄気が付かなかつたが、其処の小さい桃花心木マホガニイの卓の上に、卓上電話が置かれてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
尤もその代りこちとらの勤めむきは上品なもので、萬事にかけて清潔なことは金輪際、縣廳などでは見られたものでなく、卓子テーブル桃花心木マホガニイ製だし、上役だつてみんな、『あなた』言葉だ……。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
いかにも、今迄いままで気が付かなかったが、其処の小さい桃花心木マホガニイの卓の上に、卓上電話が置かれていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
カミンも赤あかと火を動かしていれば、そのまたかげも桃花心木マホガニイのテエブルや椅子いすうつっていた。僕は妙に疲労しながら、当然僕等のあいだに起る愛蘭土アイルランドの作家たちの話をしていた。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
敷詰めてある薄桃色の絨毯じゅうたんにも、水色の窓おおいにも、ピアノの上に載せてある一輪挿の花瓶にも、桃花心木マホガニイの小さい書架に、並べてある美しい装幀そうてい仏蘭西フランスの小説にも
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
先刻の手紙は、恐らくこの桃花心木マホガニイの小さい卓で書いたのに違ひない。さう思つて見てゐる中に、ふと一枚のレタアペイパアに、英語か仏蘭西語かが書かれてゐるのに気が付いた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
先刻の手紙は、恐らくこの桃花心木マホガニイの小さい卓で書いたのに違いない。そう思って見ている中に、ふと一枚のレタアペイパアに、英語か仏蘭西語かが書かれているのに気が付いた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
花模様の青い絨氈の敷かれた床の上には、桃花心木マホガニイ卓子テーブルを囲んで、水色の蒲団クションの取り附けてある腕椅子アームチェイアが五六脚置かれてゐる。壁に添うて横はつてゐる安楽椅子の蒲団クションも水色だつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)