栄之えいし)” の例文
春章しゅんしょう写楽しゃらく豊国とよくには江戸盛時の演劇を眼前に髣髴ほうふつたらしめ、歌麿うたまろ栄之えいしは不夜城の歓楽に人をいざなひ、北斎ほくさい広重ひろしげは閑雅なる市中しちゅうの風景に遊ばしむ。
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暗澹あんたんたる燈火の下で、栄之えいしの絵にあるような、淋しい気品のある美人が踊っている。その両袖にしかと抱いているのは人形の首——ではない、乾坤山日本寺けんこんざんにほんじの羅漢様の首。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
栄之えいしの描いた時もそうだった。衣裳は俺が買ってやったものだった。
一枚絵の女 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
春章しゅんしょう写楽しゃらく豊国とよくには江戸盛時の演劇を眼前に髣髴ほうふつたらしめ、歌麿うたまろ栄之えいし不夜城ふやじょうの歓楽に人をいざなひ、北斎広重は閑雅なる市中しちゅうの風景に遊ばしむ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
細田栄之えいし——あれはさすがに出がお旗本の歴々だけあって、女郎をかかしてもなんでも、ずっと気品があるが、そうかといって、大所帯向おおしょたいむきのおかみさんにするには痛痛し過ぎる——といってまた
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
浮世絵風俗画は鈴木春信すずきはるのぶ勝川春章かつかわしゅんしょう鳥居清長とりいきよながより歌麿うたまろ春潮しゅんちょう栄之えいし豊国とよくにの如き寛政かんせいの諸名家に及び円熟の極度に達せし時
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
歌麿うたまろ春潮しゅんちょう栄之えいし豊国とよくにら近世浮世絵の諸流派はことごとく清長が画風の感化をこうむりたるものにして、浮世絵は清長及びそが直接の承継者歌麿の二人ににんに及びてその最頂点に達したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)