柴折しおり)” の例文
ふらふらと柴折しおりを押して、庭の外へ出てみると、深い天蓋をかぶった虚無僧の姿が、河原のヘリをスタスタと先へ歩いてゆく。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしが父に伴われて行った料理茶屋は堀端に生茂った松林のかげに風雅な柴折しおり門を結んだ茅葺かやぶきの家であった。
十六、七のころ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と、しぶい目をこすりながら、柴折しおりを開けて中へはいると、そこには、きのう途中で帰した川長のお米が、ひとりで、ぽつねんと待っていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白球をまきこぼすような露の音に、そこの柴折しおりが開かれたと思うと、ひとりの女性が、駒の口輪をって、はいってきた。
つむりを下げ揃えたまま、誰も頭を上げなかった。武蔵は柴折しおりの外へ出て、静かに柴折戸を閉め、もう一度いった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりの子どもは、かれの手招きにつりこまれて、そっと柴折しおりを押してはいって来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そこの柴折しおりを押すと、庫裡くりの横へ出る。山門を通ってくだられよ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、友松はあなたの柴折しおり門を、手にある紙の巻いたのでさした。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がたんと、庭の柴折しおりを、夜風がはずす。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柴折しおりを開けて
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)