丁度その刻限、そんな騒ぎのあろうとは露知らぬが仏、門人の柳下亭種員りゅうかていたねかず新吉原しんよしわら馴染なじみもとに泊っていたのである。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかも児雷也の流行は衰えないので、そのあとを柳下亭種員りゅうかていたねかずがつづけて書く。
自来也の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「大層お早いじゃ御座いませんか。」といいながら愛雀軒あいじゃくけんという扁額へんがくを掛けた庭の柴折戸しおりどを遠慮なく明けて入って来たのは柳下亭種員りゅうかていたねかず笠亭仙果りゅうていせんかと呼ぶ両人ふたりの門弟である。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
偐紫田舎源氏にせむらさきいなかげんじ』の版元はんもと通油町とおりあぶらちょう地本問屋じほんどんや鶴屋つるや主人あるじ喜右衛門きうえもんは先ほどから汐留しおどめ河岸通かしどおり行燈あんどうかけならべたある船宿ふなやどの二階に柳下亭種員りゅうかていたねかずと名乗った種彦たねひこ門下の若い戯作者げさくしゃと二人ぎり
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)