枳殻寺からたちでら)” の例文
或る人がなかごう枳殻寺からたちでらの近所を通ると、紙の旗やむしろ旗を立てて、大勢が一団となり、ときの声を揚げ、米屋をこわして、勝手に米穀をさらって行く現場を見た。
二人ふたりはベルツの銅像の前から枳殻寺からたちでらの横を電車の通りへ出た。銅像の前で、此銅像はどうですかと聞かれて三四郎は又弱つた。表は大変賑やかである。電車がしきりなしに通る。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
過日いつか切通きりどおし枳殻寺からたちでらで施米があると云うから、この足で、さめヶ橋から湯島くんだりまで、お前様まえさん、小半日かかって行ったと思わっしゃれ、そうすると切符を渡して、なお前様、明日あした来い
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人はベルツの銅像の前から枳殻寺からたちでらの横を電車の通りへ出た。銅像の前で、この銅像はどうですかと聞かれて三四郎はまた弱った。表はたいへんにぎやかである。電車がしきりなしに通る。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)