枝蛙えだかはづ)” の例文
寒い朝日の光と一しよに、水のにほひあしの匀ひがおれの体を包んだ事もある。と思ふと又枝蛙えだかはづの声が、蔦葛つたかづらおほはれた木々の梢から、一つ一つかすかな星を呼びさました覚えもあつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おれのたけより高い芦が、その拍子ひやうしに何かしやべり立てた。水がつぶやく。が身ぶるひをする。あの蔦葛つたかづらおほはれた、枝蛙えだかはづの鳴くあたりの木々さへ、一時はさも心配さうに吐息といきらし合つたらしい。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)