果然はたして)” の例文
果然はたして夫の病気はたたみの目一つずつ漸々快方に向って、九年の後死んだ。顔の蒼白い、頬骨ほおぼねの高い、眼のすごい、義太夫語りの様な錆声さびごえをした婆さんである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今日早夕飯を食って居ると、北からやりと風が来た。眼を上げると果然はたして、北に一団紺靛色インジゴーいろの雲が蹲踞しゃがんで居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一昨日おとといは畑を歩いて、苦しいかわずの鳴き声を聞いた。ドウしてもへびにかゝった蛙の鳴き声と思って見まわすと、果然はたして二尺ばかりの山かゞしが小さな蛙の足をくわえて居る。余は土塊つちくれを投げつけた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)