果断かだん)” の例文
旧字:果斷
それは私の見たところでは今のチベットの法王は非常に鋭敏果断かだんな方で、また度量も大きくかつ仕事も充分出来る人である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
単に男というときは、ただちに男らしいとかあるいは剛毅ごうきとか、あるいは大胆不敵だいたんふてき、あるいは果断かだん勇猛ゆうもう、あるいは任侠にんきょうというような一種の印象いんしょう惹起じゃっきす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
問うていたのでは、機微な用兵にあたって、おそらくは間に合うまい。……なぜこのたびに限って、そう固くなっておるか。そちの果断かだんをもって振舞わんか
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一生懸命に口を結んで泣くまいとしていた痛々しさが父の胸にはひたひたと響き返した。この暑さにこの幼い子を十余日の旅に連れあるくことは危険でもあり、少々果断かだんにも過ぎた。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ことに下民かみんの情によく通じ、そうして民意をれ民心を収攬しゅうらんすることにつとめ、また法律を正しゅうしてほとんど賄賂わいろをもって事を扱うことが出来ぬような果断かだんの処置をやる方ですから
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
また実行と性情せいじょうはあくまでも熱烈たるべし。ことにあたるに果断かだんなくてはならぬが、その果断も一時的感情より来たるものはあやまりやすいから、思慮しりょの上にも思慮をめぐらして、定めねばならぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)