材幹さいかん)” の例文
おれが自分の材幹さいかん値遇ちぐうとによつて、吏胥りしよとしてげられるだけの事を成し遂げた上で、身を引いた天保てんぱう元年は泰平であつた。民の休戚きうせき米作べいさく豊凶ほうきようかゝつてゐる国では、豊年は泰平である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分のように、親から財産を譲られたものは、どうしても固有の材幹さいかんにぶる、つまり世の中と闘う必要がないからいけないのだともいっていました。この言葉は母も聞きました。私も聞きました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)