朱子学しゅしがく)” の例文
「なあに漢学者でさあ、若い時聖堂せいどう朱子学しゅしがくか、何かにこり固まったものだから、電気灯の下でうやうやしくちょんまげを頂いているんです。仕方がありません」とやたらにあごで廻す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
愚僧は芝山内しばさんない青樹院せいじゅいんと申す学寮の住職雲石殿うんせきどの年来ねんらい父上とは昵懇じっこんの間柄にて有之候まゝ、右の学寮に寄宿つかまつり、従前通り江戸御屋敷おやしき御抱おかかえの儒者松下先生につきて朱子学しゅしがく出精罷在まかりあり候処
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
堂上の和歌、聖堂の朱子学しゅしがく、ロダンがののしった仏蘭西フランス院体派の芸術、その実例はいくらでもあります。殊に官営の宜しくない事はその官権を以て反対の思想を暴力的に圧伏することです。
激動の中を行く (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
理も非もいわずにふるい習慣と旧い概念とに盲従し、徳川将軍は千秋万歳日本の政権を握っているもの、武士は何時いつでも主人のために腹を切るもの、儒学は永久に聖堂の朱子学しゅしがくを標準とすべきもの
女子の独立自営 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)