札所ふだしょ)” の例文
四国二十三番の札所ふだしょ薬王寺やくおうじにゆく足だまりにもなるので、遍路へんろの人のほのじろい姿と、あわれにふる鈴のもこのたそがれのわびしい点景。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしらの方は皆こうして流しますでござります。御詠歌は西国三十三番の札所ふだしょ々々を読みましてなア」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「巡礼の札所ふだしょでございます」
おなじ日に、泣き虫の蛾次郎は、母親のおときに手をひかれて、坂東何番ばんどうなんばんかのお札所ふだしょへおれいまいりにのぼっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいやな、おめえ、ここは四国二十三番の札所ふだしょだ、御詠歌ごえいかぐらいはおつとめしなくっちゃ、霊地へ対して申しわけがない。そこでぼつぼつ始めるが……オイ、源次ッ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)