木綿ユフ)” の例文
領巾は木綿ユフから出発してゐて、此を纏きつけるところから、かづらと同じ効果を現すもの、と考へてよからうと思ふ。
はちまきの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
いにしへ木綿ユフと云ひし物はカヤの木の皮にてそを布に織たりし事古へはあまねく常の事なりしを
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
けれども片方、故らに木綿ユフでない事を示したのは、白和栲シロニギテが、幣束として普通の物でなく、特殊の場合に限つて使うた物であつた故かも知れぬ。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さすれば、十二旒の阿礼幡を元は、一本の竿頭から長く垂れたあまたの染め木綿ユフが、十二本の柄のサキに別れる様になつたと考へるのは順当な想像であらう。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
地上に立てた所謂一本薄ヒトモトスヽキ(郷土研究二の四)、さては川戸のさゝら荻にも、榊葉サカキバにも、木綿ユフしでにも、シキミの一つ花(一本花とも)の類にも惹かれよつたであらうが
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
尚かの兵庫式の文の後に、羅と幡とを樹てるに入用の木綿ユフ黒葛ツヾラは、大蔵の方で請ひ受けて来た様に書いてゐる。黒葛は物をく為であり、木綿はとり垂でゝ神に献る物である。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)